墓標
毎週土日、朝と夕方、
今まで餌をやるため出社していたが、
もうその必要はなくなったと確信した。
もしかしてほかの黒猫だったかも
知れないと疑ったのは
首輪をしっかり確認していなかったからだ。
体つきを見てチッチだと思ったが
頭部は損傷して見分けがつかなかった。
しかし、あれから1週間経った。
いつもの黒い姿を見せてくれなかった。
あれはやはりチッチに違いなかった。
聖観音菩薩像の足元に
眠っているフジ夫の隣に埋めてやろうと思う。
毎朝、駐車場に車を止めると
駆け足でやってくるチッチの後ろ首を
つかんでひょいと腕に持ち上げると
鼻をすりよせてくれるのが一日の始まりだった。
墓標には
「とつぜんだったね。
でもありがとう。
わすれないよ」
と刻むよう頼んである。
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