ビデオ
娘たちが自分たちの世界に帰っていった。
プレーヤーに子供の頃撮った20数年前のビデオが入ったままになっていた。
三女が見たとのことである。
つけてみると熊本城での花見で三女がまだやっと歩けるかどうかの頃である。
家内は腰骨に三女を乗せ片手で支え、一方の手で重箱の包みを下げて坂道を登っている。
若いし体力があった。自分も若い。
カメラを回しているので声だけだが張りがある。
「なんだかんだ言っても幸せだったよな」
家内に言うと
「このころは、何とかなると思えた時代だったからね」
「今は違うのか」
「今はどうにもならないこともあるじゃない。若い人で頑張っても楽になれないし」
「そうは思いたくないね。夢がないじゃないか」
「あなたはいいの。家計簿つけてるんだから邪魔しないで」
甘酸っぱい想い出に、ふたりして浸りたかったのに・・・
両方の親達も逝って、ふたりだけが親と呼ばれる存在になったんでしょうが。
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