栄吉行方不明
実は、その数日前から彼の口の周りがただれ、
怪我をしているのかネグラから出てこなかった。
餌も食べないしチャオチュールもなめてくれない。
異臭がひどく、
まさか追い出して掃除するわけにもいかない。
獣医さんに来て貰おうかと思った日の早朝、
懐中電灯を照らしてネグラをのぞいたら
目を開けたまま動かない。
フジ夫の最後の時を思いだした。
フジ夫は猫白血病だった。
彼も朝方、応接室の片隅でニャアと一声鳴いて死んだ。
彼のときとおなじ24時間営業のペット霊園に連絡をして
10時の予約をとった。
家内と娘の言納に電話して霊園に行って貰うことにした。
準備のため、
ネグラから移そうとのぞいてみたら
なんと彼の寝ている位置が違う。まだ生きていたのだ。
俺らしいよねと断りの電話をして戻ってみたら
ネグラはからっぽ、それ以来彼は帰ってくれていない。
体にさわらしてもくれなかったが、
栄吉との交流は確かにあった。
足と鼻が白くカッコよかったが、
頭をなぜようとしても気配がすると逃げていって、
とうとう首輪もつけられなかった。
コメント
コメントを投稿