栄吉行方不明



栄吉が1週間ほど帰ってこない。



実は、その数日前から彼の口の周りがただれ、



怪我をしているのかネグラから出てこなかった。



餌も食べないしチャオチュールもなめてくれない。



異臭がひどく、



まさか追い出して掃除するわけにもいかない。



獣医さんに来て貰おうかと思った日の早朝、



懐中電灯を照らしてネグラをのぞいたら


目を開けたまま動かない。



フジ夫の最後の時を思いだした。



フジ夫は猫白血病だった。



彼も朝方、応接室の片隅でニャアと一声鳴いて死んだ。



彼のときとおなじ24時間営業のペット霊園に連絡をして



10時の予約をとった。



家内と娘の言納に電話して霊園に行って貰うことにした。



準備のため、



ネグラから移そうとのぞいてみたら



なんと彼の寝ている位置が違う。まだ生きていたのだ。



俺らしいよねと断りの電話をして戻ってみたら



ネグラはからっぽ、それ以来彼は帰ってくれていない。



体にさわらしてもくれなかったが、



栄吉との交流は確かにあった。



足と鼻が白くカッコよかったが、



頭をなぜようとしても気配がすると逃げていって、



とうとう首輪もつけられなかった。




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