径寸(けいすん)十枚是(これ)国宝にあらず

確定申告が終わりやっと一息ついた。 毎年ご報告する申告書の表紙に 偉人の箴言をご紹介しているが毎回悩んでいる。 今回は中国の司馬遷の史書からこの言葉を選ばせて貰った。 「径寸(けいすん)十枚、是(これ)国宝にあらず。 一隅を照らす、此れ則(すなわ)ち国宝なり」紀元前358年、 魏国の恵王が斉国の威王に 「我が国には直径が1寸もある宝玉が十枚あります」 と 誇らしげに言った。 すると威王は応えて言った。 「我が国にはそんな宝玉はない。 だが国境を守り一隅を照らしてくれる部将たちがいます。 彼らが我が国の安泰をになってくれているのです 」 これを聞いて恵王は恥じ入った。 今から2381年前の逸話である。 伝教大師最澄は山家学生式(さんげがくしょうしき)の中で 「古人曰く~」と紹介し弟子達に戒めている。 威王は王位について9年間、何もせず遊びほうけていた。 あるとき王の側近からの評判が悪い長官の実態を調べたところ 政務はしっかり行われ民は豊かに暮らしていた。 逆に評判の良い長官を調べたところ治安は悪く 乱れた政情であった。 すなわち賄賂によって実情が歪んで 報告されていたのである。 この9年間から「鳴かず飛ばず」と言う言葉ができたが、 何もしないと言うことではなく、 本来はじっと我慢して真実を求めると解されている。 いずれにせよ、 トップはいかに人財を大事にするか、 ス タッフはいかに足下を固めるか、 そしてグループとしてともに成長していくか、 このことを威王は言いたかったのである。