キャラメルコーンが残った日
有明高校、ベスト4を賭けた タイブレーク10回裏、 健大 高崎の攻撃、1アウト2.3塁、 祈る気持ちがカキーンと砕か れ痛烈な2塁ゴロ、 矢のよう なホームへの送球、 「ギャーア!」が口をついて出た。 ビデオ判定待たずにセーフは明らか。 テレビの前で、私はキャラメルコーンを抱えて応援していた。 いつもなら試合が終わるころには 袋の底のピーナッツが見えるはずなのに、この日は違った。 工君は手首を骨折しながらも伝令として笑顔でみんなを励まし、 エース斎藤君は前試合から連投にもかかわらず 最後まで力を振り絞った。 苦しかっただろう。 それでも仲間のために、学校のために、 そして被災地から応援してくれる人たちのために、 素晴らしい試合を展開してくれた。 高校野球は不思議である。 勝った者だけが勇気をくれるわけではない。 負けた試合の中にも、人の胸を熱くするものが確かにある。 試合が終わって、手元を見るとキャラメルコーンがずいぶん残っていた。 食べることさえ忘れていた。 若者たちのひたむきさに、 後期高齢者の私まで「まだまだ燃えるぜ」と思わされた。 有明高校の夏は終わった。 しかし、もらった勇気は、まだ私の中に残っている 。 キャラメルコーンとともに。