フジオ・ゲージ
黒きじ猫事件のあと、外でフジオを飼うと 他ののら猫が集まってくるというので 昼は外に出し夜は事務所内に入れることにした。 ホームセンターで 80 センチ× 40 センチ、高さ 40 センチのゲージ、 それに猫用トイレとフカフカベッドを買い、 昼間は倉庫に置き、退社するとき室内に取り入れて フジオを入れる。 このやり方で、もう一週間になる。 朝、出社するとゲージの中から フジオが「えさ!」と叫ぶ。 「わかった。わかった」 といいながら トイレにウンチしてないかのチェックから始まり 餌やり、ウンチの始末、散らばったトイレ砂の掃除、 ゲージの倉庫への収納まで 15 分から 20 分、 これにフジオを抱き上げてのスキンシップまで入れたら 貴重な朝の時間がどんどん吸い取られていく。 女子スタッフが「フジオは所長が好きなんだ」と言ったが、 早朝、誰もいない事務所で老眼鏡をかけ猫のウンチを割り箸で つまみだしている男の姿をフジオは分かっているのだろうか。