新年早々チッチなう

　

黒猫チッチも元気に新年を迎えた。

元気どころか

おてんばぶりが進化して

応接室のソファー、

しかもあとで聞くと

２階の応接室にもオシッコをしたそうだ。

こんなこと今までなかったのに

今年もまた何かが起きそうで思いやられる。

そういえば先週

「チッチが他の猫とけんかしてます」

と女子スタッフが報告に来た。

こんな時は不思議と迷いなく身体が反応する。

サッと席を立ち室外の壁に掛けてある

長ぼうきを取ってチッチを探す。

チッチは倉庫の床の下に向かって

「にやああごお」と気を吐いている。

普段は私の顔を見ると

ダッコされるのが嫌だからさっと間合いを取るのだが、

こんな時はチラッと見て床の下をにらんで動かない。

こっちも床の下をにらむ。

瞬間、一匹と一人、敵に対して心が一つになる。

チッチの敵は俺の敵なのだ。

長ぼうきで床下をガシガシ探る。

敵もさるものでなかなか逃げない。

なんどかやったらお隣の庭に飛び出した。

筋肉隆々、毛並みのつやつやした黄色のキジ猫である。

かねてから二カ所に用意してある

小石をとって敵に投げる。

今まで当たったためしはないが

逃げてくれればそれで充分である。

「あの猫、可愛かったのに」

女子スタッフがつぶやいた。

可愛かろうがチッチの敵は俺の敵なのだ。