たぬこと栄吉



朝、駐車場に車を着けても「たぬこ」が来ていない。



「えっ!どうかしたのか」と不吉な予感が走る。



毎日欠かさず「おそい!」と言って走ってくるのに、



ある時は空調機の室外機の上からボテッと降りてきたり、



如来様の横からススッと走ってきたり、



止まるべきスペースでじっと待っていたりするのが、



今日はまったく静かで誰もいない。



よもやと思いつつ



ツツジの植え込みの中に作ってあるネグラの中を



おそるおそる覗きこんだとたん、



脱兎のごとく飛び出したのが「栄吉」であった。



「しまった栄吉にネグラをのっとられたか」



と思った瞬間「にゃあ!」と奥から「たぬこ」が顔を出した。



なんと狭いだろうにネグラの中で一緒に寝ていたのだ。



たしかに仲が良いと言えばけんかもせず



一緒にご飯を食べるしひなたぼっこもする。



どういう関係かは分からぬが雄と雌なので一応、



栄吉はたぬこの彼氏と言うことになっている。



なので触らしてもくれないが栄吉にも



「どうぞ」といって餌をやっているし



時にはチャオチュールもサービスしている。





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