無償の愛?

 テレビを見ながらひょいと部屋の隅を見たら大輔が手足を伸ばして寝そべっていた。

 
手持ちぶたさだったのでにじり寄って彼の背中からシッポへ撫でていたら家内が

 
「あなたの愛はホントの愛じゃない。わたしだけよホントの愛は」

 
とため息混じりに言った。

 
「なんだって?」

 
意味がわからないので問い返した。

 
「あなたの愛は無償の愛じゃない」

 
「ちょっと待て。可愛がるのに何の報酬を求めているというわけ?」

 
「自分が癒されたいからせっかく大輔が安らかに眠っているのを邪魔しているでしょ。
それが自分勝手というのよ。ホントの愛じゃない。
それにあなたはお菓子を食べてるとき大輔にあげるでしょ。
わたしは大輔を必死にダイエットさせているのにペキニーズの平均体重の2倍あらすとよ。
なんにもならんたい」

 
そこで大輔の顔を両手で抱えて

 
「無償の愛だって、分かった?お母ちゃんだけが無償だって。お父ちゃんの愛はホントの愛じゃないんだって」

 
と言ったら大輔はシッポを振ってくれた。








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