フジ夫・なう
監査から帰社したとたん、
総務の女子がハッと私の目をにらみつけて
「所長、フジ夫が・・・」というので
「フジ夫がどうかしたか」と聞いたら、
「外においてあるビニール袋見たでしょ」とたたみかけてきた。
「見てないけどビニール袋がどうした?」と再び聞いたら
「フジ夫が鳩を食べました」
おう、フジ夫も猫なんだと思い
「やるじゃないか」と言ったら
「だめですよ。鳩かわいそうに半分食べられたんですよ。
その残骸があの袋に入っているんです。
フジ夫は口の周りを真っ赤にして鳩を食べていたんです」
「狩猟本能が目覚めたんだね。
本来持っている猫の本能が・・・」
「所長、おかしいじゃないですか。
私たちには部屋に入ってきた虫を殺すなと
言っていながら、鳩は殺してもいいんですか」ときた。
めんど臭くなったので
「それとこれとは違う」
と打ち切って終わらせたのだが、
翌日、早朝、新聞を読んでいて後ろに気配を感じ、
ひょいと振り向いたら、
あろうことかいつの間にかフジ夫が新たな鳩を
捕まえて胸のところに食らいついていた。
飼主に見てもらいたい欲望があるのだろうか、
わざわざ室内に運んできたのだ。
スタッフが出勤する前に散らばった羽毛を掃き集め、
死骸をビニール袋に詰めた。
そう、お前はキャットフードに甘んじている猫じゃないのだ。
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