フジ夫が逝った日

 


フジ夫が逝って2週間が経った。



週末の朝夕はもう出社する必要がなくなった。



餌やりは1年半続いたが面倒だと思ったことはなく、



むしろ楽しかった。




鳴きながら走り寄ってくるフジ夫に



「ハイ、ハイ、分かった、分かった」



と裏口ドアの鍵を開けながら声をかける。



社内に入れると一目散に餌皿の定位置へと



足下をすり抜ける。



「しっぽ踏むたい」



この1年半の毎日、こんな彼との会話から始まっていた。



8日、フジ夫が逝った日、



ネットでペット霊園を近くの「ゆうみん社」に決め、



指定された10時に着いた。



心配したスタッフが付いていくと言ってくれたが、



一人で見送った。



1時間ほど待たされ、



厚紙で作られた棺にフジ夫を移し顔だけを



見えるようして最後の別れをした。



指示を受け焼き場のスイッチを二カ所押し点火した。



大きな音がした。



終わるまで告別式をということで沢山の骨壺や写真が



置いてある祭壇の暗い部屋に通された。




天台宗とのことであったが僧衣の方が



輪廻転生について説法をされお経をあげられた。




お経のあとも時間がかかり待合室で待った。




終わったとのことで焼き場に行くと



白くなったフジ夫の骨をきれいにならべながら



「若かったですね。2年経ってないかもしれません。



この子は餌を心配しなくて良いだけでも幸せだったのです」



と言ってくれた。




骨壺は今、自宅の仏壇の横に置いてある。










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