ありがとうフジ夫





今、フジ夫は車の後部座席に


柔らかいシーツに包まれている。



運ぶ時、


体温がシーツを通してまだ温かく感じられ


腹部はやわらかかった。



昨日、もはや立つ事が出来ず


おしっこは寝たまま床にしていた。



おそらく一晩越せないだろうと思っていたが


今朝、応接室のドアを開けたら身体は


横たわったままで瞳だけこちらに向けた。



苦しげに二度三度と鳴いたので背中を


撫ぜてやったら咳き込み口を大きくあけて、


呼吸が止まった。



待っててくれたと思った。



5時に息を引き取った。



土曜日の検査では白血球が


正常値の5倍にもなっていて


持病の猫白血病が発症したとのことであった。



闘病期間が長いと言われたがあっけなかった。



汚れたタオルや新聞紙をかたずけ床を拭き、


残った餌や薬を誰かに分けるため整理し、


ペット霊園に連絡して、一息ついたとき、


気にしていたのだろう、家内と娘がやってきた。



車の中のフジ夫を見せたら撫ぜながら


「今度生まれたら家で飼ってやるけんね」



目を赤くさせて言ってくれた。



いろんな想い出をくれたねフジ夫。



         ありがとう。



どんなにこっそり来ても車の音を聞き分けて


走ってきてくれたもんね。



                               ほんとにありがとう。








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