ついに見えた恋

 



君だったのか黒猫君!




ついに姿を現した猫は、



おっさん猫でもなく、



クロキジ猫でもなく、



白黒のブチ猫でもなかった。



若いすんなりした黒猫だった。




体長は20センチあるだろうか、



スマートでキュートなシッポを持った黒猫だった。



まだ雄か雌か判らない。



身のこなしからすると雌のような気がする。



朝と夕とフジ夫の使っていた餌皿に



毎日やってきて完食し、



またどこかへ消えて行く。




いたずらに餌を提供しているのではない。



(彼女)が食べている間、



だるまさんがころんだ方式で



少しずつ間を縮めていく。



しゃがみこみ、空を見ながら知らんぷりして



右膝と左膝を交互に進める。



現在、1メートルほど近寄れているだろうか。



ちょっとした物音で



パッと逃げるのでなかなか難しい。



さわれるようになるにはまだ時間がかかりそうだ。








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