ライアンじいじ

 また凝りだしたユーチューバーがいる。

ライアン鈴木。

背が高く、ハンサムで、身ぶりまでダンディである。

世界中の街角で女性に声をかけ、

流ちょうな英語で話を聞く。

相手はたちまち笑顔になり、

ときには目までとろんとしてくる。

見ているうちに、困ったことが起きた。

こちらまでライアンになった気分になるのである。

英語など満足に話せないのに、

頭の中ではネイティブさながら、

堂々と世界の美女を相手にしている。

モニターを消せば、熊本のじいさんに戻るのだが、

その落差が少し切ない。

しかし、彼の本当の魅力は英語でも顔でもない。

誰に会ってもまず褒める。

否定せず、笑って受け止め、相手をいい気持ちにさせる。

なるほど、人はほんとのことを言う人より、

自分を認めてくれる人に心を開くのだ。

英会話は今からでは心もとないが、

人を褒めることなら今日からできる。

いっそのこと私は「ライアンじいじ」だと思い込もう。

上品な仕草、自信あふれる話し方、相手を見る眼差し、

そして、まず家内を褒めてみる。

どんな反応かだって?さりげなくやるのよ。

50年前にさかのぼって。

結構楽しかったのよ。あのころ。


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