とっさの判断
七月二十八日、
長嶺の顧問先で税務調査を受けていた。
午後四時半ごろ、
いきなり机も床も大きく揺れた。
私は反射的に机の陰へ身を縮めた。
調査官もさすがに驚いた顔をしたが、
揺れが収まると、
何事もなかったように調査は続いた。
なるほど泣く子も黙る税務調査である。
もっとも翌日は国税局の判断で調査中止の連絡が入った。
震源は熊本地方。
宇城市と氷川町で震度七を観測し、
またしても多くの命が奪われ、傷ついた。
事務所に帰ると、幸い大きな被害はない。
胸をなで下ろしたが、
翌日、イオンモールの女性従業員が亡くなったニュースを知った。
一度は外へ避難したのに、
売上金を金庫へ入れるため店内へ戻り、
爆発に巻き込まれたという。
もし私がその場の責任者だったら、
どう指示しただろう。
災害の最中、
人は冷静な判断ができるとは限らない。
だからこそ責任者の一言が要る。
「金庫はいい、全員離れろ」と。
命を守る指示は、迷ってはならない。
平時にこそ、その覚悟と手順を決めておかねばならない。

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